熊本・下通にひっそりと佇むビストロ「LES CLOS(レ・クロ)」
薪焼きを中心としたコース料理と、それに合わせて構成されたペアリングカクテル。
「記念日にどこか特別な店で食事したい」
「肩肘張らずに、本格的な料理とお酒を楽しみたい」
そんな大人の欲を、静かに満たしてくれる隠れ家。
実際に2025年5月の結婚記念日に訪れた体験をもとに、その魅力と注意点を正直にレポートしていく。

レ・クロとの出会い|その夜、探していたのは“静けさ”だった
5月10日、結婚記念日。
昼に「プリンセスタルト」でデザートまで平らげ、サングラス探して市内を彷徨い、
気づけば足は棒、心は空洞に。
「そろそろ、静かな店でちゃんとしたものを食べたい」
そんなタイミングで、妻が予約していたのがここだった。
LES CLOS(レ・クロ)。
熊本・下通の裏路地。気を抜けば通り過ぎるような場所にある“薪焼きビストロ”。

店内とコースの構成
薄暗くも清潔な店内。
カウンターとテーブル席があるが、今回はカウンターを選んだ。距離感がちょうど良い。
料理は季節のコース形式で、1品ごとにペアリングドリンクが添えられる。
「ペアリング付きのコースって、なんか構えてしまうな」と思っていたが、ここは違った。
驚かされ、楽しませてくれる“ちょっとした反則”がそこにはあった。

【1品目】有明の海苔 × 塩茶カクテル
ケーク・サレ(塩のパウンドケーキ)にシラスとカラスミ。
「戦えるの?」と思った。結論、美味すぎて黙った。
海苔が橋渡し役になり、しょっぱさと旨味が一体になる。バランスが、計算じゃなく本能で取れてる。
ペアリングは塩茶。氷出し緑茶×グレープフルーツ×ジン×海塩。
名前は地味だが、口にすれば“味覚のリセットボタン”。初手から飛ばしてきた。

【2品目】天草の鯒 × 紅茶焼酎水割り
「綺麗」
それが出てきた瞬間の素直な感想。
紅茶のジュレと春野菜が宝石箱のように散らされていた。
味はあっさりしてるが、薄くはない。
出汁、酸味、紅茶の余韻。すべてが静かに共鳴してる。
お酒は紅茶焼酎の水割り。
…正直、これは好みじゃなかった。でも完飲した。私のポリシーだ。

【3品目】茄子のボロネーゼ × バジルトニック
フィレンツェ茄子の甘みと、ミートソースの塩気が絡む。
タリオリーニの歯ごたえが心地いい。
パスタって家庭でも食べるけど、やっぱりこういう店のは“余白がない”。無駄がなくて上品。
バジルトニックは、レモンサワー好きに刺さる味。
スッキリ、香る。飲みやすく、リピートしたくなる1杯。

【4品目】炭焼きの筋𩺊 × パスティス
薪で焼いた筋𩺊(すじあら)。香ばしさが立ち昇る。
見た目では伝わらないが、香りのパンチはこの日いちばんだった。
合わせたお酒はクセの塊。
八角、甘草、唐辛子、アニス…エスニック全開。ウォッカベースの水割りでまとめてはいるが、好き嫌いは分かれる。
私は、けっこう好きだった。

【5品目】茶美豚ロース × 白葱とオレンジのマティーニ
メインは肉だろう、と思ってた。
でも、予想以上に“ご褒美の風格”があった。鹿児島産の茶美豚ロース、薪で表面を炙ってある。
これを噛むと、「あ、俺 今日いい日だな」と思える。
お酒は白葱のマティーニ。名前にびびったが、実際は葱が前に出すぎず、オレンジとマディラワインが後味を持ち上げてくれる。絶妙。

【6品目】バジルのソルベ × リモンチェッロ
スイーツにバジル。冷たいシャーベットに仕立ててあって、口の中が完全リセット。
リモンチェッロは、レモンの皮が主役。甘くてスッとするが、度数はしっかり高め。
バーでこのまま出されたら、3杯は飲むやつだ。

なぜ「薪焼き」は特別なのか?
正直に言うと、最初は「薪焼きってそんなに違うの?」と思っていた。
でも、口に入れた瞬間、わかってしまう。
炭火ともグリルとも違う、香ばしさの奥行きがあるのだ。
ガスや電気では出せない、火そのものの存在感というか。肉の脂が薪に落ちて、煙が料理にまとっていく。
それがほんのり香りとして立ち上る。
特に魚はその違いが顕著で、皮の焼き目から香りが広がる。豚肉も、外はパリッと、中はふんわり。
料理の“熱”が、ちゃんと伝わってくる。薪焼きって、そういう料理だと思う。
どんな人におすすめか?
この店をすすめたい人は、いくつか思い浮かぶ。
まずは、記念日や誕生日に「ちゃんとしたごはん」を探している人。
格式張ったフレンチは気が引けるけど、ちょっといいものを静かに楽しみたい。そんな夜にちょうどいい。
あとは、20代後半〜40代の大人カップルや夫婦。
「今日は会話も食事も丁寧に味わいたい」
そんな感覚にぴったりハマる空気がある。
一人での利用は少なそうだけど、グルメに敏感な同性同士の会食にも向いてる。
ガヤガヤしすぎず、かといってかしこまりすぎない。このバランスは、意外と貴重だ。
予約時の注意点とよくある質問
Q. 予約は必要?
必須です。
特に夜はコース制&席数も限られているため、前日までにLINEから予約しておくのが基本。
Q. キャンセルはどうすれば?
キャンセルポリシーは、LINEの予約画面にて事前案内される。
キャンセルや人数変更は前日までに連絡を。急な無断キャンセルは、次回以降の予約に影響する可能性も。
Q. アレルギーや苦手食材の相談はできる?
可能。
予約時に備考欄で伝えれば、可能な範囲で調整してくれるとのこと。
ただし、内容によっては全てに対応できるわけではないので、早めの連絡が吉。
Q. ランチとディナーの違いは?
ランチはカジュアルな構成(¥3,300〜)で、ディナーはよりフルコース寄り(¥5,500〜)。
ペアリング付きの“本気コース”は夜限定なので、ドリンクとの組み合わせを楽しみたいならディナー一択。
LES CLOS 熊本|基本情報まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
店名 | LES CLOS(レ・クロ) |
住所 | 熊本市中央区中央街2‑3 ライズ下通EXE 1F |
営業時間 | ランチ:12:00〜14:00(LO13:00)※日月休/ディナー:17:00〜21:00(LO20:30)/ バータイム:21:00〜24:00(日休) |
定休日 | 日曜(ランチは日・月休) |
価格帯 | ランチ ¥3,300〜/ディナー ¥5,500〜/ペアリング付きコース ¥12,000 |
予約 | 要予約(前日まで)LINE予約推奨 |
アクセス | 熊本市電「通町筋駅」より徒歩4分 |
公式サイト | https://les-clos.jp |
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